既卒は既卒でも、何年目かで立ち回り方が変わってくるって知ってましたか?
実は、既卒になってからの経過年数によって、相応の戦略があるんです。
この記事では、”既卒になって1年以上3年以内の人向け”に、正社員として就職するための立ち回り方を、お伝えしていきたいと思います。
実は、やり方や状況によっては、既卒1年目や第二新卒よりも、優位に就活を進めることができるのが既卒3年以内です。
紆余曲折ありながらも、既卒で就職をした会社で10年間勤務している筆者の経験が、スムーズな就職のための参考になれば幸いです。
あきらめるのは早い!卒業後~3年までは新卒カードが使える
結論からいうと、既卒3年目はまだ新卒カードが使えます。
実は、新卒カードを使えるか否かというラインは、既卒3年以内か、それとも3年超かというところにあるのです。
なぜ3年でラインが引かれているかというと、厚生労働省が2010年11月に出した通達にその理由があります。
青少年雇用機会確保指針の改正
今般、雇用対策法に基づく「青少年の雇用機会の確保等に関して事業主が適切に対処するための指針」(※)を一部改正し、本日公布・施行しました(別添1)。今般の改正では、事業主は、学校等の新卒者の採用枠に学校等の卒業者が学校等の卒業後少なくとも3年間は応募できるようにすべきものとすること等を新たに盛り込みました(別添2)。
厚生労働省においては、本日、厚生労働大臣から主要経済団体に対して青少年の雇用の機会の確保等に関する要請書を送付し、卒業後3年以内の卒業者に対する新卒枠での応募の受付について更なる取組を要請したところです(別添3,4)。今後、全国の都道府県労働局及びハローワークにおいて、事業主の皆様へ本指針の改正について周知を行ってまいります。
時代背景としては、2008年のリーマンショック後の世界的不況の中、氷河期で就職活動をした新卒者が就職できず既卒者が急増したため、その人たちを就職に導くために国が介入したというものです。
この通達が発表された後、ほとんどの企業が新卒枠での3年以内の既卒採用を前向きに実行していきました。
卒業後の経過年数でみた新卒枠での応募可能な会社
現在でも、半数以上の会社で既卒3年以内までなら新卒カードが使えるというのは、厚生労働省が出している資料からも見て取れます。
(3) 応募を受け付けた既卒者の卒業後の経過期間の上限
既卒者が新規学卒者の採用枠で正社員に応募可能だった場合、応募を受け付けることのできた既卒者の「卒業後の経過期間に上限がある」とする事業所の割合は、
調査産業計で37%、このうち、上限期間を「2年を超え3年以内」とする割合が最も多く55%となった。
「卒業後の経過期間に上限はない」とする事業所の割合は調査産業計で60%となった。(表14)
しかも、このデータでみると6割の事業所が「卒業後の経過期間に上限はない」と回答しています。
つまりデータ上では、ずっと新卒枠で応募できるという会社が6割もあることになりますが、これはあまり実態に即していないと思います。
応募はできても採用されるかわかりませんし、既卒向けエージェントでの情報や、企業の採用実績などと照らし合わせると、企業側としては公にはできないもののやはり既卒としての経過年数や、そもそもの年齢面での希望があるということは容易に推測できます。
やはり実態としては、新卒枠で採用される可能性が高いのは、既卒3年目までというのが筆者の印象です。
就活戦略としては新卒と同様でOKだけど・・・
そのため、基本的な戦略としては新卒と同様の就活でOKということになります。
しかし、当然ですが既卒3年目の人材と、新卒とを比べた時、どちらが優位かというのは火を見るよりも明らかです。
新卒向けのサイトに登録し、新卒の中で戦っても、既卒での経過年数が長ければ長いほどマイナスの状態からのスタートになります。
もちろんエントリーできる企業の選択肢は広がりますが、勝率が落ちることは必至であるため、就職までの道としては遠回りと言わざるを得ないのが実情です。
そのような背景から”根気よく就活を続けることのできる方”であれば、新卒枠を狙っていく戦略もアリだとは思います。
既卒3年以内だからこその就活重要ポイント2つ
3年以内の既卒者の戦略として注力すべきポイントが2つあります。
競合となり得る、新卒や第二新卒と比較しながら説明していきます。
空白期間に何をしていたか?
一つ目は、「空白期間に何をしていたか?」ということです。
既卒1年目の場合、空白期間が短いのでそれほど問題視はされず、むしろ既卒になった理由の方にウェイトが重くなります。
既卒4年目以降の人が最も注意すべき点ですが、やはり3年という期間でも決して短くはありませんので、面接官からするとかなり気になるポイントになります。
第二新卒であれば、その期間は正社員として働いているので、多少なりとも実績やスキルがついているという評価になりプラスに働きます。
既卒3年以内は、卒業してからの期間が空白期間ととらえられるので、「その間何をしていて」「そこから得た学びや教訓、経験」を胸を張って言えないと、社会人経験のある第二新卒に見劣りをしてしまいます。
では何をしていれば良いのか、ということになりますが、その部分の詳細については後述します。
既卒になった理由は?
2つ目ですが、これは既卒者全員に共通する重要ポイントです。
空白期間と併せて、面接では必ず聞かれる内容になりますので、面接官が納得してくれるであろう理由をあらかじめ言えるようにしておく必要があります。
この点については、下記記事にてNG例とOK例を挙げながら詳しく説明していますので、参考にしてください。
>>既卒1年目の就活tips 新卒カードを武器にした立ち回り方
年数が増すごとに重要になる”空白期間”をどう伝えるか
一般的に、空白期間は年数が経てば経つほど、面接官の目が厳しくなります。
しかし、既卒3年以内というのは、状況によっては既卒1年目や、第二新卒よりも魅力的に見えるケースもあります。
この既卒3年以内の人が最も注意すべき”空白期間”を、伝えるときのポイントをまとめておきます。
1.空白期間中、何をしていたか?
まず重要になるのは、やはり「何をしていたか」です。
最もよくないのは「なんとなくアルバイトをしていた」等という目標がないケースです。
もしアルバイトをしていたとしても”その仕事にすごくやりがいを感じていて正社員を目指していたので”アルバイトをしていたのなら、それが目標になるのでOKです。
また、「やりたいことをしていた」という理由もOKな場合と、NGな場合があります。
OKかNGかは”どれだけやったかを語れるか否か”で判断できます。
語れるものはOKで、語れないものはNGです。語れないというのは、目標もなくただ漫然とやっていたと捉えられます。
就職をせずにやりたいことをしていたにも関わらず、それを中途半端にやっていたような人は、面接官から見れば「会社に入っても中途半端な仕事しかできないだろう」という評価になります。
つまり、厳密にいうと「どんな目標をもって、何をしていたか」をしっかり語れるかどうかが、1つ目に重要なポイントになります。
2、その空白期間を通して何を学んだか
次に重要なのは、空白期間を通じて何を学び、この先どう活かしていきたいかというストーリーです。
たとえその空白期間をただ漫然と過ごしてしまっていたとしても、そのことを反省し、次にどう活かしていくかを自分なりにしっかり考えて言える人には、企業は期待します。
その空白期間が無かった人よりも、仕事への向き合い方がきっとよくなるだろう、と思わせることができるかが鍵になります。
例を挙げると、下記のような感じです。
「私は、お笑い芸人として2年間、アルバイトをしながら休みなく活動してまいりました。
しかし、実家の状況が変化し金銭的に苦しくなったこともあり、芸人として食べていくことをあきらめました。
この経験で得た教訓は、ネタ作りの中でPDCAを回して改善していくプロセスと、人前に出たときの度胸、あとは苦しい中でも耐え抜く根性です。
今後は、お笑い芸人としての活動で得たことを活かして、御社と社会に貢献し、実家にも仕送りをしながら、お笑い芸人とは違った形で周囲を笑顔にしていきたいと思っています。」
この後半部分が、何を学び、この先どう活かしていきたいか、という部分になります。
別の切り口になりますが、例のように就職をしようと思ったきっかけも明確に説明できると、ストーリーとしてより相手に刺さる内容になりますね。
既卒1年目よりも優位になる空白期間
既卒1年目で就活をする場合、必ず付きまとうのは「新卒で就職しなかったのに、卒業してからすぐに就活してるのはなぜ?」ということです。
理由は様々あると思いますが「やりたいことがあったので就職をしなかった」場合、1年未満であきらめた人と、1年以上3年の間あきらめず続けた人を比較したときに、後者の方が物事に根気よく取り組む粘り強さがあるという評価を得られます。
第二新卒よりも優位になる空白期間
第二新卒としての社会人経験は、選考では非常に優位に働きます。
しかし逆に、社会人経験があるにも関わらず、最低限のビジネスマナーが備わってなかったり、自身の仕事内容や実績を明確に説明できなかったりすると、一転ビハインドになる可能性も孕んでいます。
また、第二新卒の場合、一社目の退職理由が最も重要な部分になりますが、ココをうまく切り抜けられずにネガティブな理由を言ってしまうと、一気に魅力が半減します。
一方で既卒は、退職理由を言う場面もありませんし、もし最低限のビジネスマナーが備わっていれば「社会人経験がないのにしっかりしている」という加点を得られる可能性もあります。
また、前述のような中途半端な正社員経験よりは、アルバイトなのに誇りをもって仕事内容と実績を言える人の方が、よっぽど魅力的に映ります。
社会人経験がないことを逆手にとって、プラスに変えていってしまえば良いのです。
既卒3年以内が就職するための近道
いままでお伝えしたようなポイントをしっかり押さえていても、就職するまでには少なからず苦労はすると思います。
数多ある企業の中から、既卒3年以内まで前向きに受け入れてくれる実態がある会社を選び出し、採用を得るために根気と強めのメンタルを持ち、PDCAを回しながら改善していく作業も含め、一人でやっていくのは大変です。
しかし、正直そこまで辛い思いを続けなくても、最短距離で就職までたどり着ける近道もあります。
それが、既卒向け就職エージェントの活用です。筆者も27歳のときこれを利用し、就活開始1か月で就職することができました。
既卒向けエージェントの活用する大きなメリットは「求人企業が既卒に対してネガティブな印象を持っていないこと」「エージェントが就職までサポートしてくれること」です。
既卒3年以内でネックであるであろう”空白期間”のマイナスは、この二つがほぼ解決してくれるはずです。
最終的にそのエージェントで就職を決めなくても、お金は一円もかかりませんし、”空白期間”の納得性のある答え方や、そのほか面接対策もしてくれるので、ひとまず行っておいて損はないかなと思います。
空白期間をどう伝えるかが重要になる既卒3年目だからこそ、一人で頑張る必要はありません。一つ一つクリアしていけば、納得のいく就職が必ずあなたを待っています。がんばってくださいね!